灰本クリニック

糖尿病とゆるやかな糖質制限食

糖尿病

 糖尿病の治療は血糖値を上手にコントロールして合併症を起こさないのが重要です。治療には過去1~2ヶ月の平均的な血糖のコントロール状態を表すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値を用います。それが6.5%以上になると糖尿病と診断します。

 当院では世界の目標値に合わせて70歳未満では7.0%、70~75歳までは7.5%、75歳以上は年齢÷10 (80歳なら8.0%)を目標としています。そして、どのような場合でも絶対に低血糖(血糖が70mg/dl以下に下がること)を起こさないことが重要です。低血糖は糖尿病の薬によって起こります。実はこの「低血糖」も大変危険です。たった一回起こすだけで認知症の発症率は2倍に、心筋梗塞の発症率は4.5倍に一気に高まります。

 血糖値が高い状態が続くと様々な血管障害が起こります。糖尿病だけで起こるのは細い血管(毛細血管、直径0.05mm、髪の毛の1/10の太さ)の障害で、神経や視力に障害が起こり、重くなると腎不全を合併し透析になることもあります。一方、高血圧や高コレステロールが合併すると太い血管(直径数mm~3cm、うどんの太さ)が障害され、高血圧症を合併すると脳梗塞、高コレステロール血症を合併すると心筋梗塞が起こりやすくなります。しかし、血圧やコレステロールを薬で目標値まで下げれば糖尿病と言えども脳梗塞や心筋梗塞の発症することはほとんどありません。

 当院には1000人以上の糖尿病患者さんが来院しており、その多くの患者さんに薦めているのが「ゆるやかな糖質制限食」です。管理栄養士が毎月面談して一緒に取り組んでいます。この食事療法は劇的に血糖値やHbA1c値を下げて低血糖を起こさないので、薬を使わずに食事や運動で糖尿病を治療したい方にお薦めです。
糖尿病教室について  

 

ゆるやかな糖質制限食(ローカーボ)

 最近、糖質制限食(英語でlow-carbohydrate diet、訳すと”少ない糖質・炭水化物の食事”、”ローカーボ”とも言います)という言葉をよく耳にするようになりましたが、糖質とは何かご存知でしょうか?
 糖質とは米、パン、麺などの主食に含まれるデンプン、それにソフトドリンク、ジュース、お菓子、果物などに含まれるブドウ糖、果糖、ショ糖、さらに牛乳などに含まれる乳糖のことです。食後に血糖値を上げるのは糖質だけでタンパク質や脂肪をいくら食べても血糖値はまったく上がりません(下図)。健康に悪いと長年信じられていた脂質は血糖値を上げないのです。

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 糖質を摂取すると血糖値を下げるために膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンの作用により血糖は肝臓、筋肉細胞、脂肪細胞へ取り込まれ、血液のなかの血糖値が下がります。しかし、肝臓や脂肪に取り込まれた血糖はインスリンによって中性脂肪に合成され肥満や脂肪肝を引き起こします。現代社会は自動車や電気などで生活が便利になり運動量が減って血糖が筋肉細胞に取り込まれなくなったことも糖尿病や肥満が増えた主な原因の一つです。上の図は、二つの対照的な食事を食べた後の血糖値の推移を示しています。脂質やたんぱく質を含む食事をたべても血糖はまったく上がらず、したがってインスリンも出なくて済むことがわかります。

 当院では糖質をゆるやかに制限していますが、血糖やインスリンに無関係な脂質やたんぱく質をまったく制限しないので、図のようにおかずたっぷりの食事となります(下図)。ですから空腹感を感じません。ゆるやかな糖質制限食を実行すると①血糖が劇的に下がる、②体重が減る、③中性脂肪が下がりHDLコレステロール(善玉)が上がることが明らかとなっています。しかし、厳しい糖質制限食を長く続けると癌死や心筋梗塞死が増えるのでゆるやかに制限するのがコツです。当院では管理栄養士が多くの患者さんへゆるやかな糖質制限食の指導を行っており、大きな成果を上げています。

ローカーボ食献立例
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 ゆるやかな糖質制限食の詳細については「日本ローカーボ食研究会」のホームページ、わたしたちが編集・執筆した「正しく知る糖質制限食」(技術評論社)、「ゆるやかな糖質制限食による2型糖尿病治療」(風媒社)、「医師が実践するおいしい糖質オフレシピ216」(西東社)をお読みください。
糖質制限食(ゆるやかなローカーボ)  日本ローカボ食研究会(外部リンク)


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