投稿日時:2021年08月23日
胃癌が減少する一方で大腸癌が増えています。2019年の死亡率では男性の第3位、女性では第1位、2017年の統計では生涯に大腸癌にかかる確率は男性では10人に1人、女性では12人に1人まで上がっています(国立がん研究センターの最新がん統計より)。最近の大規模な研究によると、大腸癌になりやすい危険要因は以下の5つとなります。
当院では20年前から大腸カメラを積極的に行ってきました。2019年からは10 mm前後までのポリープの外来切除を始めました。2019年8月から2021年3月までの約1年8カ月間で311人に大腸カメラを行い、早期癌を含め45人(14%)も大腸癌が見つかりました。
そのうち、検診の便潜血陽性(無症状)で大腸カメラを行った患者さん132人のうち17人(13%)に大腸癌が見つかっています。市の大腸癌検診の便潜血をきっかけに大腸癌が見つかる確率はおよそ0.5~5%ですから、当院は非常に高いと言えます。糖尿病患者さんが多いこと(132人中27人が糖尿病、そのうち4人(15%)大腸癌)が主な原因の一つと考えています。糖尿病患者さんは大腸癌に罹患する確率が糖尿病のない人に比べて1.4倍になることが知られています。
全患者でみると、大腸カメラを受けた311人中68人(22%)が糖尿病、そのうち14人(21%)で大腸癌が見つかっています。
しかし、糖尿病の患者さんを除いても便潜血陽性だった105人中13人(12%)も大腸癌が見つかっています。大腸癌はもはや糖尿病に限らず、誰でもかかる病気だと言えます。便潜血検査で陽性になったら大腸カメラを受けましょう。便潜血が正常でも上の5つの危険要因に当てはまる方も1回は大腸カメラを受けてみましょう。