日本でも2月から医療従事者向けのファイザー社の新型コロナワクチンの接種が始まりました。4月からは高齢者や持病を持つ人への接種が始まります。どういったワクチンなのか分からず、接種を不安に思っている人も多いと思います。このワクチンの有効性と副作用について科学的な情報をお知らせします。
　まず有効性。偽のワクチンを2回接種した人（図の青線、約2万人）と本物のワクチンを2回接種した人（図の赤線、約2万人）を比べると、本物のワクチンでは新型コロナウイルスの感染が20分の1（5%）になることが分かっています。これがテレビで報道されている「有効率95%」の意味です（5%しか感染しない。95%の感染を防ぐ）。下の図を見ると一目瞭然で、14日目頃から差が出始め、以降は本物のワクチンを接種した群ではほとんど感染していません（出典①）。

　副作用は軽いものが多く、接種した部位のはれ、だるさ、頭痛などが大半です。重大な副作用にアナフィラキシー（重度のアレルギー反応）がありますが、確率は極めて低く、海外からの報告では1000万回の接種でアナフィラキシーは47人（21万人に1人）だけでした。死者は報告されていません。アナフィラキシーは薬や食物のアレルギー（じんま疹）の経歴がある人で多く、ほとんどが接種から30分以内に発症していました（出典②）。アナフィラキシーはすぐにアドレナリン注射を行えば救命できるので心配し過ぎる必要はありません。
　このように新型コロナウイルスワクチンは非常に有効性が高いワクチンで、重大な副作用もインフルエンザワクチンと同程度で、効果がどのぐらい続くか分かってはいないものの、皆さんに接種して欲しいワクチンです。ただ、妊婦さんは産婦人科施設での接種が推奨されていますのでご注意下さい（日本産婦人科学会のホームページを参照）。ワクチンに疑問のある方は医師や薬剤師にご相談下さい。
 

出典①：Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine
BNT162b2 mRNACovid-19ワクチンの安全性と有効性
Fernando P Polack, et al.
N Engl J Med. 2020 Dec 31;383(27):2603-2615. doi: 10.1056/NEJMoa2034577.

出典②：Reports of Anaphylaxis After Receipt of mRNA COVID-19 Vaccines in the US-December 14, 2020-January 18, 202
米国でのmRNACOVID-19ワクチン接種後のアナフィラキシーの報告-2020年12月14日-202年1月18日
Tom T Shimabukuro, el al.
JAMA. 2021 Feb 12. doi: 10.1001/jama.2021.1967.