灰本クリニック

「骨折予防の薬は5年以内の使用に留めましょう」(その①)

投稿日時:2021年01月20日

「骨折予防の薬は5年以内の使用に留めましょう。(その①)」
 女性ホルモンには骨密度を保つ働きがあります。女性は、閉経を機に女性ホルモンの分泌量が急に減少するため、骨量も減少します。骨量が減少する結果、骨折の危険度が増えます。そのため、閉経後骨粗鬆症からの骨折を防ぐためいろいろと薬が使われます。骨折の薬は様々ありますが、それらの骨折予防効果をまとめて確認しようと思います。
 今回の論文は107件の試験(193,987人の閉経後女性;平均年齢66歳;白人 55%;追跡期間中央値、28ヶ月)のまとめになります。下表はそれぞれの薬とプラセボ(偽薬)とを比較し薬の有効率をまとめたものです。

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特に整形外科からはアレンドロネート、リセドロネート、ビタミンD、カルシウムなどの薬が良く使われます。その中でもアレンドロネートやリセドロネートはすべての骨折において骨折予防効果が出ているが、服用開始2年半でのデータなので注意が必要である。これらの系統の薬は使用年数が長くなればなるほど、その後の骨折リスクが上昇するので5年以上は注意が必要です(詳細は次回更新の「骨折予防の薬は5年以内の使用に留めましょう。(その②)」を参照してください)。
また、カルシウムやビタミンDはすべての骨折の危険度を下げられるわけではなく、カルシウムの大量摂取は心臓病などの他の病気を引き起こしてしまう可能性もあります(2020年07月31日掲載の「ビタミンDのサプリメントで骨は強くならない」、2020年07月31日掲載の「カルシウムをたくさん食べすぎると心血管死や癌死が増える」参照)。
骨粗鬆症で自分が飲んでいる薬があれば、骨折の危険度をどのくらい下げるか一度確認してみてください。

(薬剤師 松岡武徳)

出典:Efficacy of Pharmacological Therapies for the Prevention of Fractures in Postmenopausal Women: A Network Meta-Analysis
Patricia Barrionuevo. et al.  J Clin Endocrinol Metab.  2019 May 1;104(5):1623-1630.


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