灰本クリニック

裸足が体に与える影響とは?

投稿日時:2019年09月24日

 趣味として、10年以上ランニングを続けている。はじめは普通のランニングシューズを履いて走っていたが、小さい頃に右足首を捻挫してから、捻挫を繰り返し、右足首が少しゆるい感覚が常にあった。そのため、ランニング中だけでなく、歩いているときにも、何かの拍子に右足首をひねりそうになり、ヒヤッとすることが度々あった。

捻挫予防に足首にサポーターをしたり、色々なランニングシューズを試したが、どれもしっくりこなかった。

 転帰が訪れたのはアメリカ留学中の時であった。偶然、手にしたアウトドア雑誌に、捻挫予防には裸足がよいという記事を読んだのがきっかけであった。「最近、足の快適性を求めて、サポート性が高く、クッション性の高い、厚底のシューズが増え、これにより膝のケガや捻挫が増えている、足には元々素晴らしい機能が備わっているので本来は何もいらない」という内容であった。医学的な雑誌ではなかったが、何か心に響くものがあり、物は試しと思い、そこに載っていた、裸足に近い 5本指靴下の形をした靴底がペラペラのシューズを入手し、試しに履いてみた。

 初めてその靴を履いた時の衝撃は今でも忘れられない。まず足の開放感が抜群によかった。 元々、私の足は幅広甲高である。昔から靴をはくのが苦痛で、暇さえあれば、靴を脱ぎ、足の指を開放させていた。5本指シューズは足が締め付けられる感覚が全くなく、自由に足の指が動かせ、快適であった。地面の衝撃がダイレクトに体全体に伝わって来る感覚も新鮮であった。これが本当の地面の感覚なのかと改めて実感した。足の裏にかかる感覚もよく分かり、捻挫を繰り返していた右側は 外側に体重が乗っているのがよく分かった。雑誌には、着地はつま先から、まずは歩くのになれてから、 徐々に走るようにと書いてあった。せっかちな私はいきなり走り始めた。はじめは足や膝だけでなく全身のあちこちに痛みを感じていた。痛くならないような走り方を色々と模索し、最終的に、数週間でこの様に走れば痛くないという走り方にたどり着いた。

 その走り方は、裸足について研究結果をまとめた医学論文の特徴に似ていた事が後に分かった。裸足で歩き、走る人は、①足幅が広い、②歩幅が短い、③足首の曲がり少ない、④膝は通常より曲がっている、⑤足の回転速度は速い、⑥ケガの頻度は靴と変わらい。その走り方は小さい子供の走り方、裸足で過ごす民族の走り方に近い。ケガに関しては、5本指シューズから始まり、ランニングサンダル、裸足へと徐々に段階を上げていったが、以前の様に足をひねりそうになることも全くなく、この10年は1回も捻挫をしていない。裸足が最も安定感がよく、快適だが、今は人目が気になるので妥協案としてランニングサンダルを使用している。

 骨は体全体の“臓器を若くする”ための「特別な物質」を出していることが、最新の研究で分かったとNHKで放送されていた。その物質を出すためには骨への衝撃が必要らしい。裸足またはそれに近い状態で歩き、走ることの体への衝撃は身を持って実感している。今後更なる解明が進み、裸足体に与える影響強く望む次第である。

文責 医師 蟹江 健介

【参考文献】フランクリン(イギリス)。裸足vs通常の靴: 歩行における運動学 的、動力学、筋肉活動の違いのシステマティック・レビュー。歩き方。 ホランダー(ドイツ)。習慣的な歩行と走行の長期的な影響のシステマティック・レビュー。スポーツ&運動の医療&科学。2017年4月号49(4)752〜762ページ。


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