検診で肝障害(AST=昔のGOT、ALT=昔のGPT、γ-GTPの高値)を指摘された場合、当院ではまず腹部エコーで肝硬変や肝臓癌がないか確かめます。それらがなければ他の原因を検索するため血液検査を行います。
10~20年前は慢性の肝障害の原因はC型肝炎やB型肝炎などのウイルス性肝炎がほとんどでしたが、治療の進歩によりウイルス性肝炎は激減しました。一方、アルコール性肝炎の患者数は横ばいですが、肥満に伴う脂肪肝(=非アルコール性脂肪肝障害)が増加傾向にあります。薬やサプリメントによる薬剤性肝障害もよく見られるようになりました。頻度は低いものの、自分の免疫がおかしくなって肝臓に炎症を起こす自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎という病気もあります。肝臓以外の病気では甲状腺ホルモンの異常で肝障害をきたすこともあります。
これらの病気のほとんどは血液検査で分かるので、検査結果を待ってその後の対処法を提案しています。アルコール性であれば飲酒量を減らすこと、非アルコール性脂肪肝障害であれば運動療法や食事療法、当院では特に「ゆるやかな糖質制限食」を薦めています。自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎、ホルモン異常に伴う肝障害には薬物療法、薬剤性肝障害であれば原因薬剤を特定して中止します。
検診で肝障害を指摘されたら気軽にご相談下さい。