この症例は夏から冬にかけて、2段階の違うタイプの血圧上昇が毎年発症していました。夏の血圧は120~130前後に安定しており、目標値の125をほぼ達成しています。
ところが、11月の中旬から夜の血圧が上がり始め(測定時間は午後9時頃)、11月22日の受診日には夜の血圧は140~145まで上がっていました。
145を125まで20も下げるために、朝の薬を増やすならアムロジン10mgなど相当に強い薬を使う必要がありますが、おそらく午前中~昼が下がり過ぎにると考えました。
それで、症例3と同じく夕方5~6時頃に短時間作用型のアダラートL10mgを処方しました。当日の夜から血圧は125~130まで下がりました。
さらに12月にさらに気温が下がると、今度は早朝血圧が上昇しました。真冬の夜の血圧は暖房のなかで測定する機会が多いでしょうが、早朝血圧はそういうわけには行きませんので、寒さの影響が強く出ます。この患者の早朝血圧は125から135まで10ほど上昇しました。
寝る前に短時間作用型のワイテンス2mgを加えて、翌日の早朝から125~130へ下がりました。
症例2のアダラートL(10mg)は早朝血圧を15~20も下げます。一方、この症例では10下げればよいのでワイテンス2mgを使います。
当院では寝る前の降圧薬の強さを5段階で使い分けています。