高いアルコール消費量は遺伝的および環境要因と独立して男性の41年間の冠動脈疾患死亡リスクの低下と関連する

記載者:NS  公開日時:2019年12月24日

Higher usual alcohol consumption was associated with a lower 41-y mortality risk from coronary artery disease in men independent of genetic and common environmental factors: the prospective NHLBI Twin Study.

Jun Dai et al. The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 102, Issue 1, July 2015, Pages 31?39, https://doi.org/10.3945/ajcn.114.106435

【背景】
 アルコール消費量が遺伝的および若年期における環境因子とは関係なく長期冠動脈疾患(CAD)の死亡率に逆相関するというエビデンスは存在しない。

【目的】
 アルコール消費量が家族性因子とは無関係にCAD死亡リスクと前向きに関連しているかどうかを評価した。

【デザイン】
 全体でベースラインにCADの既往のない42-55歳(平均:48歳)の843組の男性双子(396組の双子と51人の不対の双子)においてベースライン(1969-1973)でのビール、ワイン、スピリッツの消費量が報告され、前向き研究であるNational Heart, Lung, and Blood Institute Twin Studyにおいて2010年まで追跡された。その中で過去1年間の日常におけるアルコール消費量に関するデータが収集された。 研究アウトカムはイベント発症までの期間であり、その期間での主要イベントはCADによる死亡であり、副次イベントは心血管疾患および総死亡であった。ハザード比は、全体およびペア内の両方でfrailty survival modelsを用いて推定した。

【結果】
 41年の追跡期間中に129人のCAD死および219人の心血管死が認められた。 コホート全体でカロリー摂取量と心血管疾患の危険因子を調整した後、アルコール摂取量が10 g増加するごとの全体のHRは、CADで0.94(95%CI:0.89、0.98)、心血管疾患死で0.97(95%CI:0.93、1.00)であった。接合性によってプールされたコホートにおいて 双子の対より1日当たりのアルコール消費量が10g多い双子のペア内での調節HRは、CADで0.90(95%CI:0.84、0.97)、心血管疾患死で0.95(95%CI:0.90、1.00)であり、それは一卵性双生児においても同様の結果であった。3種類すべてのアルコール飲料は、ペア内のCAD死リスクの低下と同程度に関連する傾向があった。アルコール消費量は、全体またはペア内における総死亡リスクとは関連がなかった。

TABLE4.png

【結論】
 日常におけるより多いアルコール摂取量は、生殖細胞系列や若年期における生活環境、双子間で共有される成人期の生活とは無関係により低いCAD死リスクに関連し、この結果はCAD死リスクの低下における潜在的なアルコール摂取量との因果関係を支持している。

【読後感想】
 飲酒により冠動脈疾患死亡率が下がることが今回の研究で分かった。一卵性双生児でも同様の結果なので遺伝情報や環境要因にかかわらず飲酒量が多いほど死亡率は下がり、お酒を飲んでいる人には良い結果になっている。また本文ではお酒の種類に関する調査結果も示されているが、ベースラインでワインとビールを飲んだCVDの死亡リスクが逆相関の関係になっている。しかし心血管疾患、総死亡では有意差が出なかった。また追跡中でのアルコール摂取量の平均値では有意差が出なくなっていた。これは特定の種類のアルコールの影響ではなくエタノール自体が悪影響を及ぼしていると考えられる。ちなみにアルコールの種類による調査は今までなかった面白い研究結果だったと思う。

(じん薬局 薬剤師 松岡武徳)

Copyright(c) 2013 Haimoto Clinic All Rights Reserved.