日本人の男女における年齢階級別の血圧値の分類と長期心血管疾患リスク

記載者:NS  公開日時:2018年08月06日

Blood pressure categories and long-term risk of cardiovascular disease according to age group in Japanese men and women
Akira Fujiyoshi et al. Hypertension Research (2012) 35, 947–953

 収縮期および拡張期血圧によって定義された血圧値の分類が一般的に用いられている。しかし、血圧値の分類別の心血管疾患(CVD)リスクは異なる年齢階級において十分に調査されてきていない。この研究の目的は、血圧値の分類および年齢階級に応じた長期CVDリスクとその影響を評価することであった。

 10のコホート研究から得られた患者データをプールして、ベースラインでCVDの既往のない67309人の日本人患者(40-89歳)を解析した。我々は67309人の日本人患者を年齢によって3群(中高年:40-64歳、高齢者:65-74歳、超高齢者:75-89歳)に分類した。血圧値は高血圧治療ガイドライン2009に従って分類した。CVD死に対する調整ハザード比を算出するためにcox比例ハザードモデルを用いた。平均追跡期間である10.2年の間に1944件のCVD死を認めた。全ての年齢階級で血圧値の分類とCVDリスクとの関連性は全体的に正の相関であり、特に若年群でより強い相関が確認された。超高齢者群ではSBP/DBP≧130/85mmHgからCVDリスクの増加傾向を認め、他の年齢群ではSBP/DBP≧120/80mmHgから有意なリスク増加を認めた。SBP/DBP<120/80mmHgに関連するCVD死の人口寄与割合(PAFs)は、超高齢者における23.4%から中高年での60.3%に及んだ。超高齢者では、分類ごとの血圧値がより高くなるにつれて全体にわたってCVDリスクが段階的に増加することを確認した。PAFsは高齢者であっても、血圧を低く保つことがCVDの一次予防に対する重要な戦略であることを示唆している。

 人口寄与割合(PAFs):特定のリスク要因への曝露が無かったとすると、疾病の発生(疾病による死亡)が何%減少することになったかを表す数値。

読後感想
 EPOCH-JAPANとは日本国内の疫学コホートを集めたメタ解析研究であり、健診データを基に10年前後の追跡データを有し、各コホートの対象者数は1000人以上に上る。これまで80歳以上の超高齢者に分類される年齢階級では、高血圧治療ガイドラインに準じて140前後を降圧目標としてきたが、このメタ解析の結果は80歳前後の超高齢者であっても忍容性に問題がなければ120-130mmHgまで下げた方がCVDリスク減少させることを示している。全体で7万人弱と海外のコホートと比較するとそれほど大規模ではないものの、何より我々と同じ日本人のデータで解析しているという点において日本人のCVD予防に対する血圧目標値の設定に影響を与えることになるだろう。今後、80歳以上の高血圧患者であっても降圧目標は125-135mmHgに設定し直す必要がありそうだ。

(薬剤師 北澤雄一)

 

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