心臓疾患について

狭心症と心筋梗塞

 高コレステロール血症や糖尿病、喫煙癧があると、心臓の血管(冠動脈)にプラーク(冠動脈の内壁にコレステロールがたまったもの)ができ、血流が悪くなります。階段の上り、布団の上げ下ろし、散歩の開始直後などの動いた時に血流が不足すると、胸の痛みや締めつけを感じることがあります。
これが狭心症です。現在は、狭い血管を金具(ステント)で拡げ、その後、血液をさらさらにする薬(抗凝固薬)を内服する治療が主流です。
 高コレステロール血症によって血管が完全に詰まってしまうと、心筋梗塞の原因にもなります。
プラークの内容物が血管の中にどろどろと漏れ出し、そこに血小板や赤血球などの血液成分が集まりかたまったもの(血栓)が血管につまる事で、心筋梗塞が起こります。
心筋梗塞はできるだけ早期に救急搬送し、治療を開始しないと死に至ることもあります。
狭心症や心筋梗塞の主な原因は、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙歴です。
 高コレステロール血症は、その中でも最も重要です。コレステロールには、善玉(HDL)コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールがあります。動脈硬化を進行させるのは悪玉コレステロールです。一方、善玉コレステロールは動脈硬化を予防する働きがあります。
一般的に、悪玉コレステロールの正常値は男女ともに140mg/dl以下だと言われていますが、これはアメリカ人の正常値です。日本人では、悪玉コレステロールが男性では160mg/dl以上、女性では180mg/dl以上で心筋梗塞の発症率が増えるため、それ以下にする必要があります。
特に糖尿病や喫煙が悪玉コレステロールの上昇に合併すると大変危険となるので100~120mg/dl台に下げた方が、安全です。
 また、もう一つ重要な血管の病気である脳卒中(脳梗塞や脳出血)は高血圧が原因で起こるため、高コレステロール血症との関係は深くありません。

心房細動

 心臓は、心臓の一つの部分から出る電気信号によって心臓が収縮と拡張を繰り返すようにできています。
心房細動は、その心臓の電気信号があちこちから出てしまい心房という部位がけいれんしてしまう状態をいいます。心房がけいれんすると、心房の中で血液が固まってしまい血栓ができやすくなります。
 そして、その血栓が脳血管まで流れていって詰まってしまうと、寝たきりになる様な重症の脳梗塞が起きてしまいます。長嶋茂雄氏(元読売ジャイアンツ監督)やイビチャ・オシム氏(元サッカー日本代表監督)、故・小渕恵三氏(元総理大臣)も、心房細動による脳梗塞になってしまった方々なのです。
心房細動になってしまった場合、血栓を作りにくくするために血液をさらさらにする薬(抗凝固薬)を服用なければなりません。最近では、心房のあちこちから出ている電気信号を焼き切る治療(カテーテルアブレーション)が注目されています。

心不全と弁膜症

《 心臓の構造 》heart2.gif
 
全身の血液を循環させるポンプの働きをする心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれています。血液の流れは、全身から戻ってきた静脈血が右心房→右心室→肺に入って酸素受け取り動脈血となります。動脈血は肺→左心房→左心房→左心室に入り、最後は左心室から大動脈という順序で全身へ動脈血が流れていきます。
 この血液の流れを一定方向に保つために、心臓の4つの部屋の間には、三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁の4つの逆流防止のための弁がついています。

《弁膜症》ben.gif
 弁は二つか三つの弁尖から構成されています。弁膜症とは、弁がいろいろな原因によって障害され、正常に開閉できなくなる状態を言います。それには2つのタイプがあり、弁の開きが悪くなって血液の通り道が狭くなる狭窄症、2つまたは3つの弁尖がずれて閉じきれなくなって一端弁から出て行った血液が逆流して戻ってくるものを閉鎖不全と言います。
 また、弁膜症で臨床的に問題となる病気はほとんどが心臓の左側で左心房および左心室についている僧帽弁と大動脈弁です。たとえば大動脈弁狭窄症という病気では、大動脈弁がしっかり開かないため、左心室が狭い大動脈弁から大動脈へ送り出すのに負担がかかり左心室の壁が次第に厚くなり心臓が肥大していきます。それが重症化すると血液が十分送り出すことができず、結果として心不全になるたいへん怖い病気です。

 弁膜症の原因としては、先天性(生まれつき)、リウマチ熱、動脈硬化、変性(年齢による)などが挙げられます。以前はリウマチ熱による弁膜症が多かったのですが、リウマチ熱は日本ではほとんど見られなくなったのでこの原因による弁膜症は激減し、現在では高齢化にともない動脈硬化性の弁膜症が主流となっています。

《弁膜症の症状》
1.大動脈弁狭窄
不整脈、胸痛、めまいなどがあります。胸の痛みや失神発作などは狭くなった大動脈弁を通る血流が減ることによって起こります。この症状が強くなってくると突然死する可能性もあります。
2.大動脈弁閉鎖不全
運動時に息切れが起こりますが、弁がゆっくり変化していく場合は、心臓がかなり大きく悪くなるまで症状が出ないこともよくあり、そのため医療機関を受診しないことから診断が遅れることもあります。
3.僧帽弁閉鎖不全症
息切れや動悸があります。最初は運動するときに息切れがしたり疲れやすくなる程度ですが、病気が進行すると安静時に横になって寝るときにも息苦しくなります。
4.僧帽弁狭窄症
原因となるリウマチ熱が日本ではほとんど発症しないので、当院ではここ数年間で僧帽弁狭窄症を新規診断した患者はおりません。
僧帽弁閉鎖不全症の症状に加えて、心房細動という不整脈を起こしやすくなります。心房細動によって、左心房の内側での血液の流れがよどみ、血のかたまり(血栓)ができ、そのため脳梗塞などの重い病気が二次的に発生することがあります。

《 心不全について 》
 心不全とは、心臓が血液を全身へ十分に送れない状態をいい、病気の名前ではなくその状態のこと言います。弁膜症、不整脈、心筋梗塞、心筋症などが原因となります。心不全には右心不全、左心不全があり、重症化すると両心不全となることもあります。また、急性と慢性の違いもあり、急性心不全は、急に(時間~日単位)心不全症状が出るもので、慢性心不全は、慢性的に(月~年単位)で心不全症状が出るものを言います。 douki.gif
 心不全の症状として、左心不全では左房や左心室に病気かあって全身に血液が十分に送り出せなくなり、その結果、肺の血管に血液がたまるので(うっ血と言います)肺で酸素を取り込めなくなり、動いたときに「息苦しい」、「動悸」、などの症状が出ます。特に二階まで階段を上るときに息切れや呼吸が苦しいなどが出現すると、軽い心不全が始まっていると言えます。また、夜中に呼吸が苦しくなってベッドや布団の上で横になれず座ってしまう状態(起坐呼吸)も特徴です。
 右心不全では、全身から戻ってきた血液が右心房や右心室で滞り、肝臓、腹部や下枝の静脈を中心に血液や水分が貯まっていきます。肝障害、足のむくみなどが中心で左心不全のように動いたときの呼吸困難は軽いのが特徴です。
 心不全の治療は原因となっている病気を治療することです。心臓外科的な手術ができる病気では手術を行います。内科的な治療では体重の減量、塩分制限、利尿剤(ラシックス、アルダクトン)、少量のβ-遮断薬(アーチスト、メインテート)を使います。


《 弁膜症の検査 》
 弁膜症を調べるきっかけの検査は、心電図、ホルター心電図、胸部レントゲンなどがあります。弁膜症の診断に一番威力を発揮するのは心臓超音波検査(心臓エコー)で、どの弁がどういう状態なのかが手に取るよう分かります。特に、狭窄症では弁が開いたときの面積、閉鎖不全では逆流の程度、また左心室・右心室の大きさと動きの程度などがすぐわかります。この検査は痛みも苦痛もほとんどなく検査時間も20分程度で、これだけで診断を確定できるので極めてすぐれた検査方法です。

《 弁膜症の治療法 》
 治療方法には内科的治療と外科的治療があります。内科的治療は強心剤、利尿剤、血管拡張剤などを投与するもので、あくまでも症状の緩和をするだけで、悪くなった弁の機能は改善されません。
 外科的治療では、弁置換術と弁形成術の2つの手術があります。弁置換術とは、機械弁と生体弁(ウシやブタの組織を使った人工弁)などの人工弁と取り替える手術です。
人工弁のそれぞれの特徴として、機械弁は耐久性がありますが、血液凝固阻止剤を一生飲み続ける必要があります。血液凝固阻止剤は、血液を固まりにくくし、血栓をできないようルにする薬なので出血しやすくなる傾向があります。したがって薬の量を間違えると、「ひげそり後の出血が止まらない」、「血液検査の針穴からの出血がなかなか止まらない」、「消化管の出血で便が赤色や黒色になる」、「皮膚に紫色の内出血する」などの症状や、最悪の場合、脳出血を起こすこともあるため、検査をしながら飲む量を調整しなければならない薬です。 一方、生体弁は耐久性が16~18年で再手術による交換が必要なのが難点です。血液凝固阻止剤は術後ある一定期間飲むだけで、一生飲み続ける必要がありません。
 弁形成術とは、自身の弁を形成して修復・修理し、弁の機能を元の正常な状態にする手術なので、血液凝固阻止剤も再手術も不要な場合が多く、自然で優れている手術です。この分野ではかんさいハートセンター(元名古屋ハートセンター)心臓外科の米田正始先生が世界的にみても優れた手術を開発しているので、是非そのホームページをごらんください。(http://www.shinzougekashujutsu.com/

当院で出来る心臓の検査

 ・12誘導心電図(普通の心電図)
 ・24時間ホルター心電図
 ・心臓超音波検査(エコー)
 ・末梢血管超音波検査(エコー)
 ・脈波検査(PWV)
 ・その他:心臓CT※
※虚血性心疾患の患者さんが心臓CT検査を受けられるように、地域の総合病院(春日井市民病院・名古屋徳洲会総合病院・小牧市民病院・公立陶生病院・名古屋ハートセンター)と医療連携を結んでいます。
※心臓CTは心臓カテーテル検査より簡単で費用も安く、外来でも素早く診断ができます。
 この検査で異常があると、次に心臓カテーテル検査やステント治療に進みます。

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