早期癌の診断

早期癌発見に対する取り組み

ここでは早期癌発見に対する当院の取り組みをお話します。

 当院では多いときで年間80人、少ないときでも50人ほど癌を発見しており、毎週1人~1.5人の割合です。これはかなり多い人数と言えます。下のグラフに多い順に並べました。大腸癌18人、乳癌13人、肺癌11人、胃癌8人、以下胸腺癌、甲状腺癌、膵臓癌と続きます。平均年齢は69歳でだいたい55歳から80歳に分布しています。人数だけでなく14臓器(大腸、乳腺、肺、胃、胸腺、甲状腺、肝臓、膵臓、膀胱、悪性リンパ腫、前立腺、腎臓、食道、子宮)から見つかったことも当院の特徴です。

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【見つかった癌患者の年齢分布】

【臓器別発見数】

 10年前まで隆盛を誇った胃癌は年間の胃カメラ検査532人中わずか2人しかみつかっていません。胃癌の原因はピロリ菌です。ピロリ菌除菌の効果や日本人のピロリ菌感染率が下がっているので胃癌はかなり減少しています。ここ10年間に胃癌は確実に減り、代わって大腸癌、乳癌、肺癌などが増えています。
発見しても死亡率が高い肺癌は胸部レントゲンでは写らないことがほとんどで、咳、痰、呼吸困難が長く続いた時、あるいは肺炎の時、念のためのCTで偶然見つかることがほとんどです。1-2か月呼吸器の症状が続けば、胸部レントゲンに異常なくても迷わず胸部CTを撮りましょう。一方、市の肺癌検診の正面1枚の胸部レントゲンでは666人撮影して1人しか肺癌はみつからず、発見率はわずか0.2%、これは他の人間ドックとほぼ同じです。胸部レントゲンではいくら目を凝らしても癌は見つからないのです。 

無症状の方で発見のきっかけの主なものは、市の大腸癌検診の検便、乳癌検診(エコー)です。それから定期的に通院している高血圧、糖尿病、高脂血症などの患者さんで3年に一回程度実施する腹部エコー検査などもきっかけとなりました。最も多かった年の84人の癌のうち約半数が毎月通院している患者さんから見つかっており、その8割は症状が全くありませんでした。

無症状の癌は早期癌のことが多く、早期癌は偶然見つかるものです。たとえば糖尿病で膵臓をチェックするための腹部エコーで膵臓とは別の腎臓や膀胱などから癌が偶然見つかっています。また、動脈硬化をチェックするための頚動脈エコーで偶然に甲状腺癌が見つかっています。

患者からみると「偶然、癌が見つかる」、つまり運です。運で命が続くかどうか決まります。不条理ですが、どうしようもない現実です。私たちの立場から言い換えると「偶然が癌を見つける」となります。医師は症状があったときに正確に癌を見つけるとは当然ですが、無症状の患者が8割なのですから、むしろ医師の役割は「患者さんの偶然を作り出す、患者さんの運の機会を増やす」ことだと私は考えています。

ところでみなさんは人間ドックの検診でどのくらい癌が見つかると思いますか?                        
当院の癌検診では、大腸癌は検便882人から10人が見つかり、発見率は1.1%でした。これは100人あたり約1人見つかる計算で、発見率と言います。エコーによる乳癌検診では537人から7人見つかり、発見率は1.3%でした。ところが人間ドックや他の健診施設では、検便による大腸癌検診やマンモグラフィによる乳癌検診も発見率は0.3%くらいで約1000人に3人が見つかる程度ですから、当院の発見率はかなり高いことがわかります。これは当院の技師さんたちの技術が高いからだと思います。

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【新患患者と通院患者の割合】

【通院患者の症状の有無】

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【超音波検査】

【CT検査】

ところで偶然を増やすと言うことは具体的にどういうことでしょうか?たとえば、友人の大腸癌手術後にお見舞いに行ったことがきっかけで、当院の職員に相談したところ、じゃ検査してみようという軽い気持ちで大腸カメラをしたら、大腸癌があった。これが偶然ということなのです。

「癌は早期のうちに見つければ命は助かる。」そんな私の思いをしっかり理解してくれている職員が、みなさんに計画的な検査をおすすめしています。癌で命を落とさないためには、まず市の癌検診を受けること、そして通院中の患者さんは年1回職員がすすめる定期検査をしっかり受けることをおすすめします。偶然気になる症状が思い浮かんだら、職員へ相談してください。

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